~ The last kiss ~






『そうですか…』


「うん…」






『…この城にいる者は生きているようで死んでいるのです。あの日から』

エドマンドさんは私から視線を外しながら喋っていた



「死んでいる?」


 ―確かアスランも幽霊屋敷でそんな事を…



“ 城の者も皆生きながら死んでいた "




『ええ。元は城の者も今より沢山いました…けれど耐えきれなくなり自ら死を選んだ。断食という事で…』


「耐えきれない…って何を?」


何がこの城の人達を苦しませているんだ…?



『…希望の見えない絶望の光に』


―絶望の光…



「………。」






エドマンドさんは窓の前に行きそこから満月を見上げた



『ここは闇の世界。
夜があける事は叶わない
―…時が止まったままの世界なのだよ』









< 181 / 204 >

この作品をシェア

pagetop