~ The last kiss ~


「どうしたの?」


「何で…笑ってる…の」



クレアは虚ろな目でそう言っていて私は答えに一瞬迷ったが口を開いた。


「みんなが笑顔になれるように…かな」


「笑顔?」



「うん。…1人の笑顔は 100人の笑顔になるんだよ」


「?」


「私のお祖母ちゃんが言ってたの…1人笑えばもう1人笑う。そうやっていけば100の笑顔になるだろうってね」



「………」


「だから私が暗い顔してたらみんなは笑わない。

私が笑えばみんなもいつか笑ってくれるんじゃないかなって」



まあ実際はそんなうまくいかないかもしれないけどね…―。




クレアはそのまま黙り辺りは静かになっていた。



「私は…」


どうか私の声が心に届いてほしい。


「みんなの笑顔を見たい」




今じゃなくていい。無理して笑わなくていい。



ただ自然に笑ってほしい。一瞬だけでもいいから…





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