~ The last kiss ~


「………………」


「…ってこんな事言ってるからアイビー君に偽善者って言われちゃうんだけどね! 」



自分で言ってて何だか恥ずかしくなり誤魔化すようにあははと笑った。


…ひとしきり一人で笑った後、




「そうだ!…私、クレア達の力になりたいの!」

「え…?」


急に話が変わりパチパチと瞬きを繰り返すクレア。


「ずっと寝てばっかりいたらその内動けなくなりそうだし…

お城中をもっとよく知りたいしさ」



いや、まあ実際は部屋から出るなと言われている私ですがね…





「―…こっち。」



ずいぶんと間を開けてからポツンと呟きそのまま私に背を向け歩き出したクレア―――



その小さな背を私は躊躇いなく追いかけた。


多分これ以上この世界の人達に関わればもう後戻り出来ないんだと思う。

だけど私はそれでもいい…―


やらずに後悔するよりやって後悔した方がきっと…いや絶対未練が残らないから。





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