~ The last kiss ~
#01~ ordinary
「お母さん」
「あら美香、出掛けるの?」
「うん! 友達の家に遊びに行ってくる」
「迷惑かけない様にね? 行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
春の暖かな陽気の中、私の声も自然と明るくなりその足取りもスキップするほど軽いものだ。
あーッ!!!楽しみ!
つい、にやけてしまう顔を気にしつつ暫く歩いていた。
そして…
「近道しようかな!」
私はいつも以上に機嫌が良く、そう口にして方向転換し広いとは言えない道へ入った。
昼間でも人通りの少ないこの道は、両端を木に挟まれ暖かい太陽の光を遮っている。
普段は近道したくても気味が悪いのであまり近付く事はない。
しかし、高校を入学して 間もなく友達になった早紀ちゃんから初めて家にお呼ばれされ気持ちが早まりそんな事は気にしない。