~ The last kiss ~




「………はぁ…はぁ…」

なんとか自分の家の前まで帰ってこれた


それでも乱れた呼吸はなかなか落ち着かなく未だ苦しいままだ

家には母がいるかもしれない、ここで一旦落ち着かせてから入ろう


結論付いた私は玄関の前で深呼吸をしようと息を大きく吸った時だった…






「…美香?」



―っビク!!!



いきなり自分の名を呼ばれ一瞬心臓が止まる思いをするが




「自分の親をまるでお化けみたいな態度は失礼じゃない?」


「お母さん」



スーパー帰りなのか野菜やら肉やらをいれた袋を手に提げていた


「そんな所で突っ立ってないで玄関開けてくれる? 両手がふさがってて
大変なの」


おどけた調子で買い物袋を軽く上げてアピールしている





「―…うん。分かった」


いつものお母さんの声が聞けて一安心したのかさっきより落ち着きを取り戻していたので

先程の事は今は考えないようにした。




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