~ The last kiss ~











「…………。」






 ―誰も居なかった…












部屋にあるのは質素な
椅子が真ん中にポツンと置いてあるだけ










その光景だけでも怖く思えてしまう


何も無いからこそ…
何かが現れそうなのだ











とりあえず私は扉を閉め 部屋の奥に行き窓から見えていた月を見据えた








「…満月」











いつもなら綺麗だと素直に感動する私だが





今は違う………








あの月が忌々しく思えてしまっていた





それはどこから来る感情なのか分からない

けれど今までずっとこの月を… 満月を憎んでいたように錯覚している












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