アイスフレイム
太陽が傾きだした頃になって、ようやく北の森らしき場所に辿り着いた。
「ここかなぁ…?」
「多分そうだな。木とか増えてきたし、多分ここが北の森だ」
「ほ、本当にこのまま進んじゃっていいのかな…?」
あれ?シオンにしては珍しく弱気な発言だな。ははーん、もしかして、ホームシックってやつか?俺は全然平気だけどな。
「森ってけっこう死角が多いし…フィーノスの住処もあるし、ここで一晩を過ごすのは危険じゃないかな?」
前言撤回。めっっちゃ冷静に考えてらっしゃった。ホームシックじゃねーのとか疑ってすいませんでした。
「確かにそうだな…一旦引き返して、また明日明るくなったら森を探索するか!」
「賛成!」
俺達は一旦森を引き返すことにした。
そんなこんなで、あっという間に辺りは暗くなってきて、夜になった。
乾パンと、森の入り口近くの木にあった何か果物っぽいのをかじりながら、俺達は他愛ない話をしていた。会話が途切れることは無かった。
だって、周り真っ暗だし誰も何もいねぇし不気味だし、とにかく会話が途切れたらなんか…うん…なんか怖い。多分シオンも同じ気持ちなんだろうな。だってめっちゃキョロキョロしてるもん。
草を集めて、寝床の準備がそれぞれ終わるまで俺達は話し続けていた。
「おやすみ、カオル」
「あぁ、おやすみ」
あ、話が終わっちまった。どうしよーかな。星でも数えるか。
にしても、キレーな星空だな。俺が住んでたとこじゃこんなに星は見えなかったな…。
……………。
「…ル……」
…ん…?
「…オル、カオル!」
ん?まぶしい…。
あ?れ?俺、いつの間に寝てたんだ?もう朝だ。
「あ、やっと起きた。カオル、おはよう!」
「おはよーさん。ずいぶん早起きだな、シオン」
「そりゃそうだよ。僕達の手でフィーノス達を倒しに行かなきゃいけないんだから、興奮して早く目が覚めちゃってさ」
なるほどな。
「よし、じゃあとっとと朝飯食って、フィーノス討伐に行くとするか!」
「うん!」
朝飯を食ってから、俺達はまた北に向かって歩き出した。そして、再び北の森に足を踏み入れることになったんだ。
…で。
北の森に着いたのはいいけど。
どうやってフィーノスの住処を探せばいいんだ?