アイスフレイム
俺たちは防具屋のじいさんと別れて、早速トール山を目指すことにした。
北の森に行く途中でまたスライムに出会ったけど、防具のおかげで痛くもかゆくもなかったから、楽に倒せた。
…相変わらずでかキモかったけどな。
「ねぇ、カオル」
「ん?」
なんだ?スライムはもう倒したのに、まだ何かあんのか?
「トール山に行くには、確か北の森を抜けて東に行けばいいんだよね?」
「あぁ、そうだけど?」
「だとしたら、マズくない?」
「何が?」
「北の森を抜けなきゃいけないってことは、北の森を抜けるまでは森の中で過ごさなきゃいけないんだよ?」
はっはーん。さてはシオン、怖じ気づいたな。森の中で夜を過ごすのが怖いとかか?ガキじゃねぇんだからそんなこと…。
「フィーノスは僕らが退治したからいいけど、森にはどんなモンスターが生息しているか分からない…そんな中で夜を過ごすなんて、無防備すぎない?」
前言撤回。ものすごく冷静に考えてらっしゃった。…って、こんなこと前にもあったな。またまたデジャヴってやつ?
ま、それは置いといて。
シオンの言う通りだよな。モンスターうじゃうじゃの森の中でグースカ寝てたら、いくら防具が立派だろうとあの世逝きだ。
うーん…。
「ま、そんなことで悩んでても仕方ねーだろ。早く行こーぜ」
「うん…」
今、ここでどうのこうの悩んでたって仕方ねぇ。とにかく進むまでだ!
…とか思ってるうちに、森に着いちまった。
さすがにもうフィーノスは出てこない。けど、なんか辺りから気配を感じるんだよな…。
「シオン、これって…」
「うん。何かが周りにいるみたいだね」
ガサッ…ガサガサッ…。
木の葉がこすれる音が聞こえる…茂みの中にうまく隠れてるつもりなんだろうな。
「隠れてねーで出てこい!俺達が相手になってやる!」
俺は剣を、シオンは弓を構えて待った。しばらくの間、沈黙が続いたけど、次第に木の葉の音が大きくなっていった。
ガサッ…ガサガサ…ガサッ!
『ウォーウ!グルルル…』
「なんだこいつら!?狼!?」
「カオル、こいつらはウォーウルフだよ!魔力じゃなくて自然から生まれたモンスターだ!」
「ウォーウルフ、自然のモンスターか…ま、邪魔する奴は排除するのみ!行くぜ、シオン!」
「うん!」