叶わないはずの恋。
「里沙!いよいよだねっ!もうすぐ逢えるんだねっ!」
「あはは、結菜興奮しすぎ!」
「だって安井くんに逢えるの2ヶ月ぶりだよ?」
「…そんなに逢ってんのかよ」
「ん?なにか言ったー?」
「いやいや、楽しそうで見てる私も楽しいよ」
「えへへ。ふんふ〜んっ♪」
結菜、安井結菜。
私はいま、親友の里沙を引き連れて、大好きな安井くんのコンサートに来ています。
安井くん、安井悠斗。
…気付いてくれました?
私、安井。
私の好きな人、安井。
これ、すごく嬉しいことなんだよね。
ってなんの繋がりもないけど。
コンサート以外で逢ったことすらないけど。
けど特別な関係なんて求めてない。
叶わない恋だってこと知ってるし、いつまでも片想いだからさ。
安井くんが笑ってくれていれば私はそれで良い。
「あ、始まる!」
会場は一気に暗くなり、大きな音が鳴り響いた。