瞳に映る青
秘密
「空が見たい」
僕のずっと前からの願い事。そのたった一つの願い事をいつもこのベットの上で祈るのが僕の毎日のきまり。

あまり自由のない僕にはこんな事くらいしかする
事がない…
僕のいる病院は決まって12時から昼食


食事に時間のかかる僕はその昼食すら味わって食べることができない。
願い事をするくらいしか楽しみがないって理由が解るだろう?

食事って目でも味わい、誰かと会話しながら食べるのがいかに重要かこの歳で悟ったよ。これって得してるのかな?

テレビの音が聞こえ、もうすぐ13時になるらしい。

僕は一日の中でこの時間が一番嫌いなんだ。

そらあいつらが来たみたいだ。


冷房の強くきいた廊下を2人の白衣を着た医者が歩いて来る。
一人は白髪交じりのメガネの初老。もう一人は少し髪の長い若い男だ。
すれ違う看護婦がメガネの男に軽く会釈をする。

どうやらこの院内では位が高いようだ。

奴らは毎日僕の部屋に来るが僕はこいつらが嫌いなんだ。
初老の男は声がやたらと低く、嫌に自身たっぷりに話す口調も、ペンをカチカチ鳴らす態度も気に食わない。
ついでに言えば、つけている香水も趣味が悪い。

若い医者は2人の時はあまり話しかけてこないが、一人で僕の部屋に来ると僕に合わせた話題や、興味のありそうな話をしてくる。
僕にとってはありがたいことなのだが、それがいつも鼻についていた。
何故かはわからない。
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