瞳に映る青
目の見えない僕は行動範囲が制限されているので、一日の大体をベットの上で過ごしている。
退屈することもあるが、これでも点字を覚えたり、歩きかたや、人の匂いなどで前に比べできることも多くなったんだ。

そしてそんな僕にも友達がいる。
それも女友達だ。

「淳くんいる?」

ちょうど彼女が来た

「うん。いるよ」

さっきの川上や、仲上のような対応とは違い明るい声で答える。

部屋に入った彼女はゆっくりとした足取りでこちらに歩いて来る。

彼女は富塚 優子。
僕より7つ上の21歳で彼女も入院生活は長い。

その理由は詳しく教えてくれないが、僕はそんなことは気にしていなかった。

彼女は18歳の時に入院し3年入院していた。
ある日の定期健診で仲良くなってからたびたび僕の部屋に遊びにくるようになった。
童顔の彼女はとても7つ上とは思えないと母親は言っていた。
話しを聞くと髪はセミロング。肌は白く、目が大きいかわいらしい人らしい。

彼女は話しやすく話題も事欠かない。そんな時間が僕にとっては楽しく、そんな彼女が好きだった。

部屋に入った優子はゆっくりした足取りで僕のベットのそばまできた。
「ふー疲れた」
その一言で同時に笑った。

「これでも私、早く来れるようになったんだからねっ」
横髪を耳にかけながら言う。

「そうだね、前はあんまり遅いから寝そうになったもん」
そう言うと彼女は笑いながら

「うるさいなぁ~」と言ってた。

僕達はいつもこんなやり取りをしている。でも僕にとってはこれ以上の幸せはなかった。

入院してから友達などいなくて話し相手も居なかったからだ。なにより彼女が好きだったから。


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