我が異常な闘争 または私は如何にして心配するのを止めて闘いに巻き込まれていったのか

 踏み切り待ちの人間にとってみると、この踏切を颯爽と横断する予定の、クリーム色に青い帯をまとったスマートな車体は、いつものように架線と車輌のパンタグラフを接触させる火花のバチバチっという電撃音を伴った、レールの繋ぎ目を通過する心地よいドラム音を奏でるパーカッションだ。

 人生のパーカッションは、カタンカタンという音を立てながら走ってくる。心臓の鼓動を髣髴とさせながら。
 列車の近くに迫るのを感じる。
 
 高まる鼓動、呼吸数の増大。 

私は伏目がちに踏切を覗き込む視線を、太陽の煌く方角に向かって段段と上げる。

 いつもなら、左側通行の電車を待つ中、左の方角に目を遣り、左側の視界に飛び込んでくるはずの電車が私の視界の中央を突破し、右側の視界遠くの駅に向かって疾走する姿を眺めることだろう。
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