我が異常な闘争 または私は如何にして心配するのを止めて闘いに巻き込まれていったのか
第一の課題。目の前の女性がなんの意図をもって私に声をかけてきたことを予測すること。
地球シミュレータというスーパーコンピュータをご存知だろうか。その一時期世界最速とも言われた600億円を投じて造られた5000を超えるCPUを並立されたスーパーコンピュータのモジュールは、地球温暖化のほか地殻変動などの地球規模での大規模シミュレーションに成功していたのだが、そんな人類の叡智の結晶をもってしても、我々の人類が体験する数々の起こり得る事象の全てを観察し、観測し、分析し、事前に予測するには程遠い、という。
人間の心の動きを予測するというのは、特にコンピュータにとって難しい分野といって良いだろう。
だが、私の神経ニューロンの接続は、その難しいシミュレーションに挑戦し、見事にこの女性の意図を予測することに成功したのだ。
*筆者註:あくまで意図を予測するという事業そのものに成功したのであって、その「意図の予測の適否」はこの際問わないものとする。