*あいのうた*

なんだなんだなんなんだコイツっ!!

その通りかもだけどっ、この偉そう発言!!


絶句…。


そして「まぁ言う通りそうだよな…」と頭をかく藤堂響。


「はぁぁ」とため息ひと吐き、カクンとそのまま項垂れた。




沈黙…?




えぇっ!!

もしやっ落ち込んだの??


まさか…いけないこと言ったかな…?


なんだか一瞬で悪い気分になってしまう。


『わっ!!ごめん、藤堂…偏見し過ぎた…!!』


あたしはちょっと慌てて言葉をかけた。



『ひびき…』


そこに口を開いた彼はただ一言。


『は・・・?』


『「藤堂」じゃなくて「響」、「響」って呼んでよ。』


そう言って藤堂はパッと顔を上げた。

そして意地悪顔でニヤリと笑う。


『うぇ?いや!!えっと…』


だからっジッと見ないで…っ///


コ、コイツっ!!別に全然落ち込んでなんかない!!


『だから、「藤堂」なんて姉ちゃんの事呼んでも「藤堂」なんだからさ、「響」って呼んでよ?』


瞳が合ったっ…///


嗚呼!!ダメだ…

引き込まれる…

この色素の薄い茶色い瞳に吸い込まれるっ


『ぅ、ぅん…』


つられて思わず小さく返事をしてしまう。


『よろしく』


『よ…世の中に「ひびき」って名前、他にも…た、沢山居るのに…』

ドキドキを隠すために悔しくて無理矢理屁理屈をポツリと言うと、


『なんか言った?』

と藤堂は鋭く一言、そして笑顔っ


逆にその笑顔がコワッ!!


『な…何でもない…デス』

藤堂響は陽の光みたいに笑う


藤堂響…

わからない…


固まるあたしに彼は話を再開。


『そっち、家族は?』


また家族の話に戻るのね…っ


この王子…

世界は常に自分中心に回っているんだきっとっ!!


アタフタドキドキのあたしの心中を分かっているのかいないのか、はたまた気にもしないのか…っ!!


コイツ…


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