*あいのうた*

拍子

――――
――――――


〜♪〜♪〜♪〜


―着信。藤堂響―


〈実は今、長野にきています〉

『長野?!』

〈ゲレンデで泊まりのバイト〉


次の日の朝、かかってきた突拍子もない電話…は藤堂が東京に居ないことを知らせた。


『ゲレンデ?!!』

朝から鳴る彼の名前を記す携帯

それを手が震えるみたいにして取ったあたしは、藤堂の言葉に驚きの声を上げた。


い、いきなり…雪山ですか??


〈俺スノボ結構上手い〉


嗚呼っこの人!!

「上手い」とか自分で言っちゃってるっ


思わずスノボをする藤堂響を想像…


あたしはスノボとか全く出来ないけどっ


ゲレンデで上手くスノボとかスキーしてる人って誰でもカッコイイんだよね…


それなのにそれが藤堂だったら…




!!



似合うッ!!

尚更似合うッ!!



絶対の絶対様になる!!



〈おーい!!聞いてる?〉


聞いてません。

聞こえません。


〈おーい!!もしもし?〉



藤堂…スノボ…ゲレンデ…///


〈オイオイ?〉
『うあぁっゴメン!!』


やっと王子の声が聞こえると、弾みで何故だか大きな声で謝っていた。


〈面白っ♪〉

電話越しにツボにはまってウケてる藤堂響。


失礼なヤツ…


――――――


その夜―


〜♪〜♪〜♪〜


―着信。藤堂 響―


またきた!!


『は、はい…?』

〈なにやってるの?〉

『へ、部屋にいるよ…』

〈ふーん。〉

『そっち、は…?』

〈俺はご飯食べてナイター行く〉

『そうやって一日中滑ってるの?』

〈いや。仕事だからあんまり昼間は滑んない。空いた時に滑る。〉


電話での藤堂響はやっぱり会って話すのと何か違う。


長い文章はあんまり言わないし、単調に喋る事の方が多かった。


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