*あいのうた*
だから…電話遅かったのか。

ほっ


藤堂は、こんなあたしの待ち惚けた気持ちなんて気付いてないんだろうなぁ…全く。


〈今日の昼飯、うどんとラーメンどっちが良いと思う?〉


だって話すことがこんな内容だもんね…っ

藤堂は食べ物の話を良くする(笑)


お気楽なヤツ


『うどんかな♪』

〈じゃぁラーメンにする〉


コイツっ相変わらず憎たらしいっ


でも会話の内容なんて何でも良いのかもしれない。

話が出来たらそれだけでいいような気がするんだ。


それに6日目ともなると、あたしも藤堂と話すのにだいぶ慣れてきた。


『アホ』

なんて返せる、から。


〈あはは。それは酷くね?って事でまた夜ね〉


[また夜ね]だって…♪


『うん♪』

〈て事で、夜這いにきてね♪〉

『んなっ!!バカ!!ネコの所行くから無理っ!!』

〈ははーヨロシクー〉


そして藤堂の笑い声を受けながら、いつもの通り電話は勝手に切られてしまった。

あたしはポカンとその携帯を見つめていた…。


『何事?』

そんなあたしに聞こえた質問。


『凛…ちょっときもちわるい…顔が…』


苦笑いで隣であたしを見ていた芽奈は言った。


『えっ?そんな顔してた?!』

『もの凄く…』

不思議そうに言って、


『ねぇ?電話相手はまさか…』

と燻しい顔で質問してくる。


『と、藤堂…響です』


あたしは小さく答える。


『ほぅ。藤堂来ないと思ったら今度は仲良く電話する仲になってたの?』


『そんなんじゃないよ…なんかまだ雪山にいて、毎日電話来るだけだもん』

『それって結構凄い事じゃないの?』

『へ?』

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