*あいのうた*
『ねぇ…藤堂ってもしかして本当に凛に本気…だったり…?』
芽奈はそう言ってまた燻かし気に見てくる。
本気…?
『わからない…』
正直、わからない。
『凛…は藤堂に…本気…?』
同じ顔して芽奈は恐る恐る続ける。
あたしが…藤堂響に…
本気…?
『ないでしょ』
ただ…
藤堂からくる着信を少し楽しみにしているのは本当だけど…
『ないない』
藤堂と話すことが、毎日の当たり前になってる気がするのも本当だけど…
…
ん…?
あ。そうだ、ネコ…
『ちょっと出掛けてくる』
あたしは「来たばかりにどこ行くのよーっ!!」と言う芽奈の声は全く聞こえなくて、ネコの事を思い出して、ぽけーっと教室を出たのだった。