*あいのうた*

サラサラと髪の毛を揺らす風がまた吹いた―


みぁー

とネコが鳴いた時


―♪―♪―♪―


―新着メール1件。藤堂 響―

風がメールを運んできてくれたみたいだった。


きた!!早いし!!


また早まる鼓動を感じながら、受信ボックスをあける―


『うあっ』


[仲良くなっとけ!!]


『これだけっ?!』


多分時間にしては1分くらいしか待っていなかった。

返信がすぐ来たことに喜んだけど、内容の簡潔さに思わず力が抜けて叫んでいた。


これに返信すべきか…でも何を返そう…?



なんて暫く考えていた。

『あたしこんなキャラだっけ?』


みぁ〜


『そうよね、こんなじゃないはずなのに』

無心でネコと会話。

あたしは藤堂と関わるようになって、何かが変わっている気がする。


トクトク鳴る胸も、携帯を見る回数も、最近著しいから…


ただの風が、心地良いな…なんて思えてしまう



〜♪〜♪〜♪〜


―着信。藤堂 響―


『もしもし?』

〈なにしてんの?〉


悩みながらぽけっとしてたら藤堂から電話。


なんだかホッとする。

自然と顔が綻ぶあたしは、ベランダで人間一人、絶対に怪しい人だと思う。


『ベランダにいるよ』

〈2時間目もサボり?〉

『あっそうなっちゃった…。でも、藤堂なんて学校ずっとサボってるじゃない?』

〈だねーまぁ問題ない〉

『そうですか?』

〈まぁいーやまたね〉

『うん』


喋るって事が心地良い。


ところで、なんの用事だったんだろう?

そう思って携帯を閉じた。

藤堂は相変わらず一方的。

でも声が聞けて良かったなぁって少し思う。


―――
―――――


『ねぇ?ネコ?』


みぁ〜


『どう思う?』


みぁ〜



相変わらず藤堂は雪山に行ったきりで、メールとか電話とかは毎日きて、他愛もない話をしていた。

あたしから連絡も時々するようになった。内容はネコの事ばっかりだけど。
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