*あいのうた*
コンパクトに作られ綺麗な顔。

シャープな眉、スラッとした鼻筋に


何より…

強い瞳の力…


確かにカッコイイ



更に程よく焼けてる肌と

上履きなんてスリッパじゃん!!

不良?


でも、その全てが「藤堂響」にはしっくりきている。


『まだ話の途中だよ』

とポカンと見惚れているあたしに構わず、何食わぬ顔で話だす。


ドキドキドキドキ

何っ?このあたしの心臓!!

止まってこのドキドキっ!!


『あ、あたしは話すことはないノデ…』


惑わされるなあたし!!


『チッダメか』

すると彼は残念そうに呟いた。


「チッ」って何なのっ!!


ぁぁぁっ!!
駄目だ…っ心中全然落ち着かない。


だってだって彼の事は本当に良く知っている

って…ゆうか、話したこと無いから噂だけだけど…


それでもだって…

藤堂響という人間には、ただすれ違うだけでも、つい瞳が追ってしまっていたから…


きっと誰もがそうしちゃうキラキラオーラを持っている…のが彼なのだ。


あたしとの接点なんて今の今まで0だったけど…


無駄にキラキラオーラを振り撒く藤堂響に翻弄されない女の子はいないはず。

バカみたいだけど、あたしだってその1人であった。


ただの「有名なイケメン」として、名前と噂に聞く素行の悪さ。


それでも、それだから?近くに居れば、無意識に瞳が追ってしまう。


「すき」とかじゃなくて…

テレビの芸能人を見るのに近いような…


ある意味憧れ…

ある意味近づきたくない…


矛盾した思いを抱かせる彼


そんなチャラ男と言われる人間は今、間違いなくあたしに話しかけている。


『やっぱり、いきなり「告白」は無理があったかぁ…放課後出直してくる』

そう行ってクルリと向きを変えて歩いて行ってしまった。


あたしはその後ろ姿をぼーっと見つめる。


「ひーびき♪」
「ねぇねぇ?今のってなぁに?」

< 5 / 34 >

この作品をシェア

pagetop