*あいのうた*
―――
―――――


次の朝…

『おはよう♪どこに住んでるの?』

『えーと…三丁目?』


しかし…


藤堂響はそれから毎日、朝昼放課後と必ずあたしのクラスにやって来た。


『何で自分家なのに"?"で疑問系なの?』

『な、何と無く?』

『そっか。わかった、またな!!』


その間約30秒から1分くらい。

一回に一つどうでもいい質問をして「また昼に」など言って平然と帰っていく。

クラスメイトが藤堂響に話しかける隙が無いくらい瞬殺の登場と姿眩まし。


藤堂響が立ち去った後の「何で響が凛に?」というクラスメイトの質問には「わからない」とひたすら答えた。

だって本当にわからないから。


『友達の事は色々知らないと♪』

と藤堂響は言っていたけれど…


とにかく、どうやら夢ではないようだ…


どれもたいした質問ではないから、あたしは苦笑いでそれに対し一言答えていた。


なんだか「本気だよ」の藤堂の真剣な顔が頭から消せなくて、強く「止めて」とは言えなかったから…。


――――
―――――


『パンツ何色?』

『パッっ…』

ヘラリと勝ち誇った笑みで藤堂は言った。

『セクハラっ』

『バッカ!!男は誰でもエロでできてんだよ♪これくらい序の口♪』


嗚呼っ。この男っ!!


そして「今度聞くね〜」と浮かれて去っていった…

やっぱりその間約30秒だった…



6日目の放課後

藤堂の「好きな色は?」に「ピンク」と答えて彼が去ってからぼーっと鞄に荷物を詰めていた。


なんか…調子狂う…


ため息吐くと、校庭を女の子と並んで歩く藤堂響を窓越しに発見。


だよね…

あの子は…彼女かな?

藤堂響があたしの所に来るのは何かの冗談だろうと静かに納得。

だよね…「本気だよ」と言っても藤堂が真剣なはずがない。



なのに藤堂のあの顔が嘘の顔な気はしなくて、窓から見えなくなるまで眺めてしまった…


参ったな。

ちょっと…

なんだか…変な気持ち…



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