君からの手紙
その時私は、この人はなんでこんなに先のことまで見据えることができるんだろう、と感心した。


私は、その時その時を生きるのが精いっぱいだった。


先のこと考えるなんて、到底無理、って感じ。


後で詳しく知ることになるけど、
カズキの家は、母子家庭だった。


カズキは、生まれた直後に、お母さんを亡くした。


そのままお父さんと父方のお祖父ちゃん・お祖母ちゃんの元で暮らしていた。


でも、幼稚園卒園の年にお祖父ちゃんが亡くなり、
小学校3年で、お祖母ちゃんも亡くす。


お祖母ちゃんを亡くした頃にはもう、
カズキに新しいお母さんができていた。


それが、初めて会った時、私に挨拶してくれた人。


その後、カズキは実の父親と継母とともに順調に暮らした。


...しかし。
高2に上がる直前、彼は父親をも亡くす。
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