君からの手紙
私も、カズキのこと、好きやのに、なぁ...。


ふたりの会話が聞こえないように、
私は耳を塞いだ。





次の日の朝、
いつもは一緒に通っているカズキとは一緒に家を出なかった。


どうせ、会っても辛い思いするだけだろうし、と思って。


いつもより少し早い時間に家を出た。


そうしていつもより少し早い時間に学校について、
自分の席に頭を伏せて、少しの間、眠ろうと思った。


誰もいない教室は静かだった。


なんだか、学校にいる時間というのは、もったいない気がして。


私は、鞄を掴んでもう一度校門をくぐる。


行き先も決めずに、慣れない電車に乗った。
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