ラブハンター☆
2
「バカねぇ。身体鈍ってるんじゃないの?女の子追いかけ回してないで運動でもなさい」
「ママ…怪我人だよ」
「いいのよ。この間の罰なのよ。もう身体だって傷だらけなんだから一つ位増えたって変わらないわ」


あれから緊急外来で診てもらったら太陽の怪我は全治二週間。思ったより深くて4針縫った。その割りには太陽本人はケロリとしていた。


「ホントごめんね」
「謝るなってば」
「ん……じゃこの前の事チャラにする」
「んなの覚えてねぇことチャラにして貰ってもなぁ」

-ガチャッ-

「帰ったぞ~」
「パパ!お帰りぃ~♪」
「おっ桜ちゃん、ただいま~」


桜の顔が急に明るくなる。毬谷家の主人、つまり三兄弟の父が帰宅したのだ。スラリと背が高くて素敵なおじ様…三兄弟の長身は父譲りのようだ。嬉しくて首に飛び付くと元気と同じように前屈みになる。何のためらいもなく頬にキスをする。パパは嬉しそう。

「仕事の疲れも吹き飛ぶな~♪」
「帰って早々デレデレすんなよ、エロ親父」
「なんだ太陽、暫く何もないと思ったらまた怪我したのか」
「違うの!桜からまれてるの庇って切られちゃったの!」
「ほぉ~守ったか。それでこそ男だ…んが!怪我はこの前の罰だ。桜ちゃん気にするな」
「ったく両親そろってそれかよ。覚えてねぇっつーの!」
「未成年のくせに酒なんか飲むからだ!」
「はいはい……うるせぇから退散すっかな。桜おいで」

元気そっくりの笑顔で同じように誘われる。でも桜は惑わされない。
「ヤダ。絶対下心あるもん!」


太陽は首をすくめてリビングから出ていく。

「あ……桜~」
「何?」
「元兄ィの性格からして胸の大きさも大人びた香水も関係ねぇよ?見た目じゃなくて中身だろ」

-太陽も元兄ィと同じ事言うんだ……-


「それに桜は桜の魅力があんだろ。ちっちゃくて軽くて可愛いじゃん。今は可愛い系だけど将来美人に化けるぜ?今日のこと気にするな」
「ん………太陽、ありがと」


「ま、俺は巨乳美人もオッケーだけどさ」
「太陽の好みはどうでもいいよ」

ニヤリと笑うと手をヒラヒラしながら二階に上がって行ってしまった。

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