余命6ヶ月
「アルバムとプレゼントとクッキーの缶持って来たけど」

手を出した彼女に渡すとスコップを申し訳なさそうに出して来た。

「えっ」

やっとやっと意味がわかり僕はにやけていた。

「そういうこと、私達が、30歳になったらここに来て一緒に開けようよ」

彼女は徐々に思い出の品を缶に入れていった。
楽しそうに話してる春菜を横目で見つつ桜の木の下に穴を掘っていった。

「なぁ、なんでいつも僕らってここに来るんだろうな」

他の桜の木よりもはるかにがっちりとしたこの木を見ながら僕はふとそう思った。

「なんでだろうね、何かあるといつもここに来てた気がする」

やっと、タイムカプセルが埋まる位まで掘った。

「そろそろ埋めようよ」

横を向くとなにか言いたそうな彼女の顔がそこにあった。

「うん、そうだね埋めよ埋めよ」

いつもと違う彼女の表情に僕は戸惑いを隠せなかった。タイムカプセルを埋め終わり2人は帰ることにした。
< 16 / 70 >

この作品をシェア

pagetop