余命6ヶ月
少し、沈黙が続いた病室に春菜のお母さんが入って来た。

「お邪魔だったかなぁ」

気まずい空気が漂っていた病室は、おばさんのお陰で和んでいった。

「お母さん・・・私、高校に落ちた?」

悲しげな表情で問い掛けた春菜に、

「受かっていたよ、ねぇ、春菜?私は、あなたをそんな弱い女に育てた覚えは無いんだけどなぁ」

お母さんの言葉は、春菜の心に響いた、

「ごめんね、お母さん心配かけて、勝ちゃんにも心配かけたねごめんね」

その時の春菜の笑った顔に自分も自然に笑顔になって行った。

「ごめん、敏志、今日、辞めとくわ」

僕は他に何も聞かず走って行った。

「おい!勝、試合近いって言ってるのに」

もうすでに何処かに行ってしまっていた。

試合当日。僕は少し遅れてきた。

「どうしたんだよ?」

少し怒ってる。

「ごめん、春菜を呼んで来たんだよね、ほら」

遠くから、大きく手を振る春菜を指差して言った。

その試合は9対4で負けてしまった。でもベンチから見てた春菜は楽しそうだった。
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