Colorful World
海理は一曲弾き終わると静かにピアノから指を下ろし、小さく息を吐いた。その呼吸に合わせるみたいに海理も小さく息を吐く。
止めろと言われたわけではない。だけどいつの間にか息を止めていたらしい。止めていた間は苦しくなんかなかったのに、いざ曲が終わると身体が酸素を求めていた。
…とても綺麗な音で、透明で、キラキラしていて。それなのに、どうしてこんなにも…
「…切ない…。」
旭の言葉に海理が振り返る。そして、旭の表情を見つめる海理の表情が曇る。ペンが大慌てでメモ帳を駆け抜ける。
「ち…違うんです!雪城さんにそんな顔してほしかったわけじゃ…。」
ペンを動かす手がピタリと止まる。
「え…?」
海理は顔を上げ、メモを旭の方に向けた。そこには…
『そんな顔しないでください』
(…さっき、あたしが口にした言葉。)
それが確かに彼のメモにはあった。
止めろと言われたわけではない。だけどいつの間にか息を止めていたらしい。止めていた間は苦しくなんかなかったのに、いざ曲が終わると身体が酸素を求めていた。
…とても綺麗な音で、透明で、キラキラしていて。それなのに、どうしてこんなにも…
「…切ない…。」
旭の言葉に海理が振り返る。そして、旭の表情を見つめる海理の表情が曇る。ペンが大慌てでメモ帳を駆け抜ける。
「ち…違うんです!雪城さんにそんな顔してほしかったわけじゃ…。」
ペンを動かす手がピタリと止まる。
「え…?」
海理は顔を上げ、メモを旭の方に向けた。そこには…
『そんな顔しないでください』
(…さっき、あたしが口にした言葉。)
それが確かに彼のメモにはあった。