Colorful World
「ぷっ…同じこと…思ってる…っ!」

 うんうん、と少しだけ嬉しそうに微笑む彼に旭も思わず微笑んだ。
 同じタイミングで同じ言葉を声にすることはできなくても。本当に〝もしかしたら〟としか言いようのない可能性の低さであっても、同じ〝何か〟を共有することはできるかもしれない、そんな気がする。

「明日、新しい人がもう一人来るみたいです。…新しい人、どんな人か分からないからちょっと緊張しますけど、…でも、楽しみですよね。誰かと出会えるっていうのは。」

 縦に頷く。それもちょっとすばやく。頷き方一つとっても色んなバリエーションがあって、それぞれがちゃんと気持ちを示している。

「あ、ここにあたし以外にもう一人…っていうか妹がいるんです。それが…えっと大の人間嫌い…でして…あ、違うか、人間嫌いの中でも男嫌い…なんです。」

 海理が目を丸くして旭を見つめる。

(そりゃそうだよね…嫌いって言われちゃ…。)

「で、でも!あたしはこのまま空が、あ、空っていうのは妹の名前なんですけど、空がこのままずっと誰とも関わらないで生きていくのは…嫌だな…って、勝手だけど思ってて…。あの、だから…えっと、最初は空、かなりキツイこととか言うかもしれないし、ていうかむしろ無視とか普通に有り得そうだけど…。
でも、あまり気を悪くしないでください。雪城さんが良い人だって、時間をかけて分かってもらいましょう!」

 そこまで一気に言い終えると、海理が口を開く。最初の言葉は『あ』。
そして二つ目は少し口を横に開く。さっき旭が間違えた『り』。
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