Colorful World
「あら海理、よく眠れたみたいじゃない。顔色いいわね。」


彼は二コリと微笑んで返す。


「じゃ、そっち持ってくれる?
旭は私の方を手伝って。」

「分かりました!」


あたしは千草さんの持つ方とは別の方を。
雪城さんは丁度あたしと千草さんが持つ方の向かい側を持ち上げた。


「2階建てとかじゃなくて良かったわよねー本当に。」

「そーですね!ってゆーか千草さん、あんまり力いれてないでしょ?」

「あら、ばれた?」

「バレるに決まってるでしょ!あたしだって力持ちじゃないんですよ?」

「少なくとも私よりは力持ちでしょう?それで十分よ。
さ、さっさと運んでしまいましょ。」


あたしの言葉を軽く流して、千草さんは雪城さんにウインクをした。
ちょっと困ったような表情を浮かべる雪城さんと不意に目が合う。


「ほらー雪城さん、困ってますよ?千草さんなんかにウインクされても…。」

「ふぅん?随分言うじゃないの旭。いつからそんなにタテつくようになったのかしら?」

「たっ…タテついてなんかないです!
あ、場所どこにするんですか?」

「どこでも?だってこれ使うの私じゃないし。
旭が置きたいところに置けばいいんじゃない?」

「…あたしが…ってあたしだけじゃないですし、住むのは。
あ、雪城さんはどこがいいですか?」


あたしがそう言うと、雪城さんはキッチンから少し離れた場所に目配せした。


「なるほど!いいですね!そこにしましょう。」

「はーい。じゃ、もうちょっと押すわよー!」


そうして3人でテーブルと椅子を運び終えると、千草さんは『仕事があるから』と言って帰っていった。


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