Colorful World
『急いでいたみたいだけど、行かなくていいの?』
「あ!そう!行かないと!本当にごめんなさいっ!気をつけてっ!」

 旭は頭を下げて、それから思いっきり走った。幼稚園まではそんなに遠くはないけれど、まだまだ新人だから早く行かなくちゃならない。やることはたくさんあるのだから。

(…それにしても、さっきの人…。)

「綺麗な人…だったなぁ…。でも…『僕』ってことは男の人…かぁ。」

 自分よりも細い腕。それに透き通ってるんじゃないかって思えるくらい白い肌。
それに…

「あの瞳…吸い込まれちゃいそうだったなぁ…。」

 グレーの目なんて、生で生まれて初めて見た。

(だからなのかな、こんなにも…なんだろう、ちょっと胸がざわつく。)

「…また、会えるかな。」

 そんなことを思わず言ってしまったのは、やっぱり『彼』との出会いが衝撃的だったからだと思う。
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