Colorful World
「そ…空…っ…。」


目の前に空がいる。
…ど、どういうこと…だろう?これは…


「え、っと…幻覚…?」

「なわけないでしょう?
旭のご飯よりこの人のご飯の方が美味しかったからよ。」


空がそう言うと、海理は目を細めて優しく微笑んだ。
そしていつもよりもゆっくりと口を動かす。


『今すぐ準備しますね。』

「…ごめんなさい。私は読み取れないわ。」

「『今すぐ準備する』って。
空もすぐに読めるようになるよ!
…ってあたしはこんなことしてる場合じゃなかった!
海理、空!あの男の子のことよろしくね。」

「あ、ちょっと旭!?」


あたしは空の声を振り切って自室に戻って、パンを押し込みながら着替えてカバンを持った。


「旭!どういうことよ!」


部屋を出たあたしを待っていたのは空の尖った声。


「昨日傷だらけの男の子とぶつかって、その子今もうちにいるから面倒みてあげて?
じゃあたし、仕事行ってくるから!
海理もよろしくねー!」

『任せて。…いってらっしゃい。』

「うん!行ってきます!」



海理の『いってらっしゃい』と笑顔を受け取って、あたしは玄関を飛び出した。


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