仇恋アベンジャー
なんてことだ。
姉思いの雄輔は、引き込もって無断欠勤する私の代わりに、店に出てくれていた。
申し訳なさが募り、涙がじわり。
「匠も心配してたぞ」
恵一は私を責めることなく穏やかに言った。
私の意気地がないばかりに、店に迷惑をかけてごめんなさい。
思ったけど、声に出せなかった。
「大体の話は雄輔から聞いた」
「大体って、どこまでですか?」
「お前の知らないことまで、かな」
「私が知らないこと?」
何よ、それ。
私が知らないことって、わけわかんない。
雄輔の方が、よっぽど事態をわかってないはずなのに。
私たちが兄妹弟であることまで突き止めた私が、何を知らないっていうの。
「由紀。お前は誤解してる」