仇恋アベンジャー
「じゃあ、なに? 私と雄輔は、お母さんと血が繋がってないってこと?」
「そうだよ」
「私は、血の繋がってない女の人に娘として育てられたの?」
「そうだよ」
愕然とした。
今まで自分が松井紀子の娘であると信じて疑ったことはかった。
私の名前は由紀。
由雄と紀子の娘だから由紀。
そう思っていたのに。
父は何度も私を引き取ろうとしていた。
だけど私は昔から母の方が大好きだった。
小さいころ
「パパと行こう」
と言われて、大泣きして断固拒否をしたことがある。
無理矢理父の家に連れていかれた日は一晩中泣きわめいたこともある。
父が嫌いだったわけじゃない。
母と離れたくなかったのだ。