仇恋アベンジャー
「あの、どちら様ですか?」
出てきたのは、若い女だった。
大人っぽくて美人な、恵一と同じ年頃の女だった。
「あのっ、私はっ。お店のバイトの者なんですけど、あの、そのっ。ま、マスターは……?」
誰? この人、なんて。
そんなの、状況を考えればおおかた予想はつくけれど。
「ごめんなさい。恵一さん、今シャワーに入っているんです」
シャワー?
来客がいるのに、シャワー浴びてるの?
シャワーを浴びなきゃいけないようなこと、これからするってことなの?
「それならいいんです! また、出直しますから」
私はバッと勢いよくお辞儀をした。
「えっ? でも用事があったんじゃ……」
「大したことじゃありませんから、改めます。夜分にすみませんでした。それでは、失礼します」