仇恋アベンジャー
この日の夕食は、珍しく和食だった。
肉じゃがや具だくさんの味噌汁、鯖の味噌煮。
何もしないのは出来損ないの彼女のような気がして心地が悪かったから、米だけは私が研いだ。
恵一の料理は何を食べても美味しい。
特に鯖なんていう生臭い魚は苦手だったけれど、恵一の味噌煮は母の味噌煮とは全く違って、鯖って実は美味しい魚なんだと新しく認識した。
「実はさ」
恵一が何の前触れもなく話し始めた。
「言ってなかったんだけど、俺も探ってたんだよね」
あまりにも唐突で、私には何の話かわからなかった。
「探ってた?」