仇恋アベンジャー
単純な私は、その言葉だけで、怖いものなどなくなってしまう。
「マスター、行きましょう!」
「どこに?」
「マスターの、実家に」
立ち向かわなくちゃ。
きっと二人なら大丈夫。
認めてもらえなくても、コソコソするよりはずっといい。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないですよ。でも」
「でも?」
「私、悪くないもん!」
真剣に宣言したはずなのに、恵一は豪快に笑い出す。
「ほんっとにお前は……」
「何ですか、私は真面目なのに」
「可愛いよ」
彼のツボはわからない。
どうして私なんかを好きになったかも。
だけど彼がそう言ってくれるなら、まぁいっか。