仇恋アベンジャー
シャワーを浴びるために左足の包帯を解き、予め割ってあるギブスを外す。
見た目には何ともない足ではあるが、ギブスで固定して、歩くときは松葉杖を突かないと治らないと医者に脅されている。
「手伝おうか? 体洗うの」
とおどける恵一に嫌だと言い返し、足を気遣いながらシャワーを浴びた。
決めたなら早い方がいいからと、決行は明日になった。
どんな顔をされるかはわからない。
何を言われるかもわからない。
でも、恵一が一緒だから、平気。
「キツくない?」
「大丈夫です」
風呂上がり、恵一にギブスを巻き直してもらって、ベッドに入る。
「緊張してる?」
「ちょっとだけ」
恵一は眠れない私をくたくたになるまで抱いて、私よりも先に寝息をたてた。
規則的なリズムに導かれるように、私も夢の世界へと旅立つ。
どうか明日を無事に過ごせますように。
穏やかでなくても、今日と変わらぬこの寝顔を見られますように。