仇恋アベンジャー
彼の手が私の手に絡まる。
じわりと温もりが伝わってきて、それだけで泣きそうになる。
「大丈夫です。たぶん」
「たぶん、か」
苦笑した恵一にも少しの緊張が窺える。
捕まれた腕を軽く引かれ、頬を寄せ合う。
「無理するな。困ったらいつでも俺を頼っていい」
耳元に響いた大好きな声にキュンとする。
唇が重なるとまた少し勇気が湧いた。
前にこの地へ来た時はまだ気付いてなかったけど、今は素直に思う。
好き。好き。好き。
恵一のことが、大好き。
だから、頑張りたい。