仇恋アベンジャー
「七海?」
恵一の母は眉間に深いシワを寄せた。
彼女は私を松井紀子の娘だとインプットしているはずだ。
姓が違うことに関しては説明が必要である。
しかし彼女にとってそれは大した問題ではないようだった。
「あなたたち……わかってて付き合ってるの?」
私も恵一も松井紀子の産んだ子供だと思っているのだ。
これに関しては早急に説明しておいた方が良さそうだ。
「わかってるさ。俺たち、血は繋がってない」
私が発する前に恵一が応じる。
「え? でもあなた、娘だって……」
「ええ、松井紀子は私の育ての母でした」