仇恋アベンジャー
そしてとりあえず部屋をぐるりと巡回。
ベッド、ソファー、テレビ、キッチン、ダイニング。
家具は店内のようにどれもシンプルで、飾りっ気がない。
雄輔の部屋のようだと思ったが、これがいわゆる男の部屋ということか。
しばらく部屋を観察していると、階段を昇る音がした。
私は静かにソファーへ戻り、なんとなく寝たふりをする。
カチャ、と扉が開いた。
足音と共に食器の音がする。
コトッコトッとテーブルに置いた音がしてこちらに向かう気配がした。
「由紀」
呼ばれて起きたふりをする。
「マスター?」
目の前に恵一の顔。
「飯だ」
そして大きな手が私の頬を軽く撫でた。