仇恋アベンジャー
私は普段、ロンTにジーンズ、スニーカーというラフな格好だ。
原チャリに乗るし、走り出すと寒いから、冬は特に防寒重視。
アウターはいつもダウンジャケットである。
前に雄輔が言った通り、色気などない。
彩子はやたらと私にスカートを履かせたがる。
「そんなの、寒いよ」
「何言ってんのよ。女に生まれたからには、寒くても履かなきゃ負けなのよ」
「そんなルール、誰が決めたの」
「世間に決まってるでしょ」
そして結局、大人びた肩出しのニットとミニ丈のワンピース、そしてヒールのブーツを買わされたのだった。
「明日、バイトでしょ? これ着て彼にアピールしなさいな」
「今更恥ずかしいよ」
これじゃあ本当に初彼氏に浮かれてるみたい。
「色気満点の女に取られてもいいの?」
いいよ、別に好きじゃないし。
なんて言っちゃいけないけど。