とある國のヒメ
私は、目の前にいるカイの背中にしがみついた。
・・・死にたくないっ。
「姫さま、目をつぶっていてください。」
「え?」
カイがつぶやいた。
周りの槍の先がキラリと光る。
いつでも突ける、とでもいうように。
「・・・殺せ。」
命令が下されるのとほぼ同時だった。
刀をかまえた、カイの黒髪が揺れる。
大きな、風がおこった・・・ような気がした。
その瞬間私の周りで、たくさんの赤が散る―――。
兵士たちが、次々と倒れた。
なにが・・・おこったの?
「俺は何があっても姫さまを守る。」
カイが、守ってくれたの?
「ちっ!カイを殺せ!いけ!」
さっきよりもたくさんの兵士たちが、カイに襲いかかる。