とある國のヒメ


さっきよりも、もっとたくさんの赤が散った。

カイが刀を振るうと、赤とともに人が倒れてゆく。



私の不安や悲しみを、カイが刀で振り払ってくれているように感じた。

今、そんなことを思う私はおかしいかしら?


こんな光景を見ても、「こわい」なんて思わない。

なぜか、胸が苦しくなる。




私は見ているだけしかできなくて、その場に座り込んでいた。





「姫さまっ!逃げますよ!」







ふわっ・・・・・。



私の体が宙に浮く。


え?
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