とある國のヒメ
「そんなに慌てなくてもいいですよ。」
私はにこりと笑う。
「あ、ありがとうございます。」
大臣が少し驚いたように言った。
私はまた歩き出す。
初めて見る大臣だ。
新しく大臣の位に上がったのかしら?
「・・・姫様は、・・・方ですね。」
誰にも聞こえないような小さな声で大臣が何かをつぶやいた。
「へ?」
「いやっなんでもないですよ!」
なんか、めちゃめちゃあせってますけど・・・。
「さぁ、国王様のところへ急ぎましょう!」
なにかはわからなかったけど。
・・・すごく張り切っているみたい。
お父様の部屋へいくまで大臣と色々と話していた。
この王宮に来る前まではちがう姫のもとで働いていたらしい。
なるほど。
それで見たことなかったわけだ。
「国王様、大臣のムソクでございます。」
「・・・入れ。」
「はっ。」
・・・この大臣の名はムソクというのね。
大きな扉の向こうから、お父様の声が聞こえてくる。
いつ見ても大きな部屋。
その扉が開かれた。