とある國のヒメ
~町の中にて~
とある町の一角で、二人の女性が立ち止まった。
「知ってるかい?隣の国の王様と女王様が亡くなったそうだよ。」
「まぁ。」
「色々と問題を抱えていらっしゃったそうでね・・・それを苦にして自害されたと。でも、それは表向き。噂では女王様の弟君がやったらしいよ。自分が王になるためにね。」
「物騒な世の中になったものだねぇ。それで、次の王は誰なんだい?」
「女王様の弟君だよ!王様にはご兄弟がいらっしゃらないし、女王様のご兄弟もその方だけらしいから・・・。」
「他に王室の血を引くものはいないのかい?」
「・・・一人だけ。一人だけいる。」
「誰だい?」
「それは、お二人のお子の一の姫さまさ。運良く生き延びたって話だよ。あぁ、この話は禁句なんだ。誰にもいっちゃぁだめだよ。」
「分かった。気をつけるよ。」
「今の王様が、その姫さまに王の座を奪われる、とヒヤヒヤしているらしくてね。その姫さまには懸賞金がかかってるっていう話さ。」
「その姫様に、いつか王の座をとって欲しいような気もするねぇ・・・。」
「さっ、この話は終わりだ。隣の国の役人にでも見つかったら大変なんだよ。」
―――そうして、また二人の女性は歩き始めた。