とある國のヒメ
自分の力で本当の姫に。
ファナが?
でも。
「ファナはやっぱり姫になりたいとは思わない。」
この気持ちは変わらない。
「・・・それでもお前は巻き込まれる。」
「え?」
何に?
「後継者争い、そしてこの国に。お前がこの国の姫として生まれてきた限り。」
「必ず?」
「必ずだ。この先お前を利用しようとする輩も多いだろう。いつどこで命を狙われるかもわからない。」
―――命を狙われる。
背筋がぞくっとした。
「お前のそばにいる者も。」
「ファナの・・・そばにいる・・・者も?」
ファナのそばにいる者。
真っ先にカイの顔が浮かんだ。
ファナのそばにいるだけでカイの命まで危なくなる?
「今のカイには己を守る力どころか、主であるファナを守る力すらない。」
だから。
「カイは兵士として城から出ていくんだ。」
「まって!ファナはカイの主じゃないよ!ファナ、カイに守ってもらわなくてもいい!」
自分の身は自分で守る。
それなら、カイも危ない所へ行かなくてもいいでしょ?
「違うな。カイはお前を守るためにいる。それはカイもわかっていることだ。」
そんなっ!
「カイの身を案じていることはわかる。だが、カイの「ファナを守る。」という思いも察してやれ。」
「でも・・・っ!」
「・・・なら、お前も自分と・・・周りの者を守るすべを身につけろ。」
ファナにもできる?
カイを守ること。
この城からでもできる?
遠く離れていても。