とある國のヒメ
「今、この国がどうなっているのかを知れ。」
「それでカイを守れるの?」
「国境で何がおこっているのかを把握しろ。あとはお前の好きなようにすればいい。」
それだけ?
「俺が教えてやる。」
「でも将軍の仕事は?ファナに付きっきりじゃ…」
将軍には将軍の責務があるはず。
「心配ない。今日からカイが戻るまでの間、国王陛下からじきじきにお前の専属護衛を命じられた。」
「お父様から!?」
国王陛下…すなわちファナのお父様だ。
いきなり将軍をファナの護衛につけるなんて、いったい何を考えてるの。
「…そろそろ時間だな。」
え?
「いくぞ。」
「どこに?」
「国境行きの兵士たちが出発する。」
うそ!!
もう出発するの?
「まだ間に合う?」
「ああ。」
将軍は急ぐ様子など全く見せず、部屋からでていく。
ファナは急いでかけよった。
本当なら走ってでもカイのところに行きたいところだが、居場所を知らないことに気づく。
今はおとなしく将軍のあとをついていくことにした。
朝早くということもあって、廊下には誰1人とすれ違うものはいない。
二人の足音だけが響いていた。
…気まずい。
何を話してよいかが分からない。
この空気をどうにかしたくて、早くカイのもとへとつくことを願った。