とある國のヒメ
城のまわりのろうかにでると、向こうに城門が見えた。
門が開いてる。
その手前には兵士たちが集まっていた。
まだ出発前なのだろう。
座っている者、立っている者、話している者と様々だった。
ファナは身をのり出し真っ先にカイの姿を探す。
しかし、兵士たちが身に付けているものはみな同じ。
なかなか見つからない。
そんな中、周りより一回り小さく見える黒髪の少年。
「カイっ!」
気がつけばカイのもとまで走りよっていた。
「え!?」
いきなりだったから驚いているみたい。
「びっくりした。裸足のまんまじゃん。痛くない?」
あ、そっか。
あのまま飛び出してきたから裸足のままだった。
でも、そんなことより。
「大丈夫!あのね。絶対絶対ファナのところに戻って来てね。」
言いたいことなんかいっぱいある。
「うん。戻ってくる。」
「無理なんかしなくていいから。カイはファナが守るからね。」
「…俺のセリフとられちゃったじゃん。」
「じゃあカイがファナのこと守ってくれる?」
「俺は最初っからそのつもり。」
ありがとう。
ファナはその言葉を飲み込んだ。