とある國のヒメ

みんな…どうして動こうとしないの?

「みんな!!危ないよ!」

ガララララッ!!

階段は崩れていくばかり。

ガラッ。

「っ!!!」

足元の段が崩れた。

体がグラリと揺れる。

あ……。

だめ…。

空が遠い。

闇に吸い込まれる―――




バチッ!

なに…?

目が痛い。

「夢…?」

目を開けると、森のなかにいた。

「おきました?」

カイ…。

良かった、あれは夢なんだ。

「お父様とお母様は…?」

「…。」

カイはいいにくそうに口をつぐんだ。

そっか。

あれは夢なんかじゃない。

「ごめんなさい。」

もういないんだ。

「水、飲む?」

カイが水の入ったようきを差し出してきた。

「うん、ありがと。」

受けとると一気に飲み干す。

身体中に染み渡っていくのが分かる。

「カイはのまなくていいの?」

「俺はくみにいくときに飲んだから。」

私はのみ終えた空のようきを渡した。

空が、あおいな。

私は空に向かって手を伸ばす。

開いた手の隙間から、太陽の光が私に向かって降り注いだ。

私、まだ生きてる。

太陽をつかむ気持ちで、ぎゅっと手を握りしめた。

つかめない、か。

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