とある國のヒメ

・・・当たり前よね。

自分の力で姫になる。

そんなこと、もう私には無理そうだわ。

私に残されたものなんて・・・この命くらい。

この先に待っているものなんてないよ。

なんにも。

いつかこの命が消えるまで。

だた生きているだけ。

私はゆっくりと目を閉じた。

この先、私はどうすればいい?

自分自身に問いかける。

姫を目指す?お父様たちを殺めたあいつに復讐?

復讐したところで、その先に何が待ってるの?

「どうすればいいの・・・?これから。わかんないよ。」

ねぇ・・・。

「俺がいます。」

カイ?

「俺がいるから。ずっといるから。そばにいるから。」

「カイ?」

「一人でなんでも抱え込むな。」

「・・・ありがとう。でも・・・」

でも。

私はもうあなたにそばにいてなんて言えない。

「私には何もない。残ってるのはこの命だけ。何もないの!」

「それがなんだってんだよ。」

「カイにあげられるものは何もない!もうそばにいてなんて言えないわ!」

私は姫じゃない。

何もかもを失った私は、ただの少女でしかない。

「・・・俺あんたから何かほしいとか思ったことねーよ。」
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