とある國のヒメ
もしかして、ずっと心配してくれていたのかな。
ずっと自分のことばかり考えていたけれど。
・・・つらいのは私だけじゃない。
本当はカイもつらいはずだ。
なのに私は自分のことばかり考えてばかりいる。
全然だめだわ、私。
ほんっとだめ。
「カイ!ありがとう!」
カイが驚いて振り向いた。
「!!今の聞こえてなかったはず・・・え?ちょ、何泣いて・・・。」
「私・・・泣いてなんか・・・あれ?」
自分の目から自然に涙がこぼれだす。
「おか・・・しいな。なん・・・で・・かな。」
―――姫たるもの、他人に揺らぐ姿をみせるな―――
エレボス将軍が前に言っていた。
・・・今日だけはごめんなさい。
止まることのない涙はそのまま地面へと吸い込まれていく。
守れそうにないわ。
私は思いっきり泣いた。
今までにないくらいに声に出して。
わんわん泣いた。
私の前でしばらくカイがあたふたしていたが、毛布のようなものを私にかけたあと、背中を向けて座りこんだ。
いつも、カイのさりげないやさしさに助けられる。
お母様、お父様、うばや、みんな。
ファナは生きています。
みんなの分まで精いっぱいこの命を大事にしようと思います。
どこかで・・・見ていてくれるよね?
みんなのことで泣くのは、これで最後にします。
でも、忘れたわけじゃないよ。
ずっとずっと。忘れないから。
森の中に静寂が戻ったころ、私はもう一度眠りについていた。